受賞コメント of FUTURE WALKER


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Music-Clip 'もったいない'

アストロデザイン・ムービーコンテスト最優秀賞受賞にあたっての監督のコメント 2002.11

アストロポスター
 どうもどうも。「もったいない」を監督した中村未来歩です。プロのクリエイター情報誌をみて応募したときは、まさかここでは難しいだろうと思っていました。なぜなら、商用目的で製作された作品も応募可能だし、映像美の追求が基本というコンセプトでしたので、綺麗なCGなどに比べたらはるかに敵わないと思ったからです。まあとりあえずは、様々な人々に観てもらう機会にもなると思って応募してみたのです。ところがなんと最優秀賞を受賞ということで、本当に嬉しい限りです。

 もともとこの「もったいない」は、映像のMusic-Clipを製作するために楽曲をオリジナル製作したのであり、先に楽曲ありきの普通のMusic-Clipとはアプローチが違っていました。もちろん、楽曲が出来上がってから細かい映像の演出プランを考案したのですが、あくまでも楽曲を製作するときから、映像の作品を作り上げるというビジョンを念頭において作業をしました。そして、昨今世に溢れているプロモーションビデオ、いわゆるプロモとは一線を画したいとも思っていました。要するに、アーティストを売り出すためだけに製作された単なる宣伝材料である映像にはしたくなかったのです。ですから、アーティストのいいとこ撮りで占めた、表面的に綺麗、面白いだけのものは作りたくなかったのです。きちんとした映像作品として位置付けられるような、‘映画’という観点で捉えて製作し、残したかったのです。

授賞式1受賞の瞬間 しかし、一つの位置付けられた作品となるためには、多大なる努力が必要でした。最近はデジタル技術の発展により、映像機器も急速に安くなり、様々な手法を簡単に取り入れ、実現することができます。ですから、カッコいいとかある程度綺麗な映像というのは、機材さえ手に入れればできるのです。でも果たしてそんなことで、モットーにしている「心に届く作品」を作ることができるのか。だったらどうすればいいのか。単純にカッコいい映像を作ればいいのに、こんなことを思ってしまうので、悩みに悩みました。なぜなら、ある程度の特殊効果を撮影や編集で使用して作れば、たいていの人は「スゴイネー」と言ってくれます。もてるかもしれません。自分自身もなんだかんだそこには惹かれます。しかしそこに少しでもとらわれていれば、「心に届く作品」は出来ません。まず映像煩悩を完全に取り払い、何を伝えたいのか、何のためにこの作品を完成させたいのか、ストレートにその問いを見つめられる澄んだ目を自分の中に確立させなければなりません。それをするには、映像の勉強だけではだめなのです。自分の生活、人生観、物の見方考え方を改めて見つめなおし、確認しなければならない。そういうことだったのです。

授賞式2受賞後。表彰状と副賞と真歩 その点を最後までしっかりと捉えて離さないように、とにかくアーティスト、出演者、スタッフとの打ち合わせ、相談をできる限りしました。今回のアーティストである中村真歩は、普段の生活に疲れすぎていて開放されていなかったので、まずはお互いの作品への思い入れ、人生観などをざっくばらんに話し合い、少しずつ開放していきました。もちろん、その作業の中で自分自身の開放もしていったのです。作曲家、サウンドデザイン、衣装の方々ともできる限り密に打ち合わせを重ねました。特に衣装の方は、ロケハンまでも来て頂いて、撮影するその地に立って、空の色、景色の色、風などを考慮しながらその場で衣装の基になる生地の糸の相談までしました。せっかくオリジナルを製作するのだから、機織からやろうということになったのです。撮影スタッフに関しても、技術的なものだけではなく、しっかりと相互コミュニケーションが取れるスタッフに参加してもらいました。撮影監督は結局そのような人材には出会えず、自分でやる羽目になりましたが。僕も含め皆、まだまだ技術のいたらないスタッフでしたが、いい作品を作ろうという心の通い合いはしっかりとできていたので、今までになく非常に充実した楽しい撮影ができ、スタッフ全員の心に一本の筋がとおっていた撮影でした。その心を反映してか、出来上がった絵は、オーソドックスな機材しか使用していなかったにもかかわらず、力のあるものとなっていました。ですから編集は、最初のコンセプトとプランに基づいて作業していけばいいだけでした。編集で何でもできるというデジタル技術の乱用をさけた撮影をしていたので、絵自体が生きていて、ある意味繋げるだけで済みました。もちろん孤独で細かくて一番骨の折れる作業ではありましたが。

授賞式3Inter BEE in 幕張メッセのアストロデザインのブース こうして考えてみると、やはり映像は大勢の力が発揮されてこその芸術だと思います。賞をいただけたのも、スタッフや出演者全員の力のおかげだと思います。僕のわがままを忠実に再現してくれた皆さんのおかげなのです。賞を取ったからと言って何かが大きく変るわけではありませんが、本物のコラボレーションに対する大きなプレゼントだと思います。何より、表面的なことにとらわれず、私たちが目指してきた映像の本当の訴求力、メッセージ性、美しさ、エンタテイメント性が高く評価されたことが何より嬉しいですね。一見、見た目は普通の映像の「もったいない」から、こういった部分を汲み取っていただけたことは、本当に素晴らしいことだと思います。これからもこれを一つの糧として精進し、より「心に届く作品」作りを目指していきたいと思います。そのために、これからも出逢う人々との心の交流を大切にしていきたいと考えております。皆さん、またご迷惑をかけるかもしれませんが、引き続き応援よろしくお願いします。




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もったいない


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