2008年3月 of FUTURE WALKER


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2008-03

日本映画の現状

毎年一月、㈳日本映画製作者連盟から、前年の映画産業に関するデータを発表している。
今年のそれを見ると、昨年の映画館入場者数が、一昨年より139万人減っている。
そして、邦画と洋画の興行収入の比率は、48%対52%。
一昨年には二十年ぶりに日本映画の興収が洋画を超えたはずなのだが、昨年は見事に逆戻り。
一方、スクリーン数だけは159増えているが、1スクリーンあたりの収入は、前年比400万円減。
マスコミだけはやたらと、日本映画活況のように伝えているが、
このデータが決してそうではないことをリアルに伝えている。
当然、映画DVDソフトなどの売り上げについても同じである。

では、その中でも、昨年はどのような映画がヒットしたのだろうか。
まず、109億円を稼ぎだした『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』、
次に『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(94億円)、『HERO』(82億円)と続く。

なぜ『パイレーツ〜』がここまでヒットするのかは分からないが、
ディズニーとジョニー・デップ効果なのだろうか。
『ハリー・ポッター〜』は、まさに原作の力以外の何ものでもないだろう。
3位に『HERO』が食い込んでくるが、これも映画というよりはテレビで、
テレビ人気以外の何ものでもない。

特に邦画に関してみると、『HERO』に次ぐのは『ポケモン』シリーズで、
『ALWAYS』の続編、『西遊記』と続く。
映画オリジナルは一つもなく、どれもこれも元はテレビか漫画だ。
しかも2位は、子供向けアニメである。
子供向けであれば、子供一人ではなく家族皆で観に来るので、興収が余計に上がるのだろう。
映画の興収成績と映画の質が、全く別ベクトルになってしまっているのが現状である。

もちろん、『パッチギ!LOVE&PEACE』や『それでも僕はやってない』などのように、
力作も少ないながら輩出されているが、日本映画の大半は大チェーンの映画館には載せられず、
単館でひっそりと上映される。
シネコンのような大チェーン映画館では、テレビ局主導の「テレビドラマ映画」や
「コミック原作映画」、「ベストセラー小説映画」ばかりが独占し、
ますます宣伝力や興行力のある映画のみが幅を利かせていくことだろう。
しかし今回のデータをみると、
その傾向が日本映画の未来に大きな影を落としていることは明らかである。

今年は、反戦を静かに凛と訴える秀作、『母べえ』を皮切りに、
続々と良質な作品が登場して欲しいものである。
そして、良質な作品を送り出す土壌は、観客にあることも忘れないで欲しい。
「自分で良い映画を選択する」という気概を持った観客が多くなればなるほど、
興行収入と質が比例し、日本映画のみならず世界の映画が発展していくのではなかろうか。

written by 中村未来歩