2009年5月 of FUTURE WALKER


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2009-05

麻生がマンガの殿堂!?

麻生太郎が、117億円もの予算をかけて、マンガ・アニメ・ゲームの『殿堂』をお台場に作るらしい。

正確に言うと、文化庁が、アニメ、マンガ、ゲームなどの作品を展示するための美術館
「国立メディア芸術総合センター」(仮称)を新設するという構想を発表したのだ。
これは、麻生内閣が「経済危機政策」の中で、
「我が国のアニメ、マンガ、映画、放送番組などのソフトパワーを新規市場創出や
若年雇用拡大に活用する」とした計画の一つで、
消費税増税を前提にした14兆7千億円という大バラマキ補正予算の中で実施するものである。

しかし、単にハコモノを作って「新規市場創出や若年雇用拡大」などできるのだろうか。
ソフトパワーの中心として据えているアニメに関しても、
今はアニメバブル崩壊と言われていて、2006年のピークに比べるとTVアニメは半減、
DVDの売り上げも減り続けている。そんな中で単にハコモノを作っただけでは、
文化庁の言う「年間60万人」の入場者数を望めるわけはないし、
動画1枚200円というアニメータの薄給を改善できるわけでもない。
しかも実写映画は、「すでに国立フィルムセンターがあるから」
という理由で『殿堂』からは外される予定。
結局、麻生の趣味のために117億円かけるだけである。
さらに経営は国でも独立行政法人でもなく、外部に委託するという『作りっぱなし』である。

ソフトパワーを作り出すのはマンパワーであり、今そのマンパワーが著しく不足している状況である。
その仕事で生活費をまかなえないのであれば、「若年雇用拡大」なんてあり得ないし、
技術の継承もできない。「若年」が育つ前に熟練者が高齢で引退するという現実の中で今、
質の高い「メディア芸術」が出来なくなっているのである。

儲けの大きさとスピードだけが求められる今の社会システムの中では、
即戦力(適当にこなす力)だけが求められ、新人がじっくりと着実に育つ土壌もない。
“映画好き”の若年ほどそのギャップに矛盾を感じてやめていってしまうのだ。
日本政府が今まで「メディア芸術」を芸術ではなく、産業としてしか認識してこなかった結果、
大企業の儲けだけに組み込まれてしまったのである。

これを根本から改善するためには、
長い時間をかけて人を育てる環境作りを国がしていかなければならない。
その環境とは、“儲け”の結果の『陳列殿堂』ではなく、
“儲け”から切り離された『人材育成の殿堂』をたくさん作っていくことなのではないだろうか。

written by 中村未来歩